不都合な真実

今年の冬はほとんど冬らしい日がなく、暖かい。個人的には助かるが、これが地球温暖化の表れだとしたら、喜んではいられない。


地球温暖化が大変な事態だということは、アタマではわかっているつもりでも、日常の生活を過ごす中で人類の危機、地球の危機だという切羽詰った感覚はなかなか持ちにくいのだが、地球温暖化に警鐘を鳴らし、全世界1000箇所以上の講演の行脚を続けている男が居る。ゴア・元米国副大統領である。その彼の訴えをドキュメンタリーにした映画「不都合な真実」(原題:An Inconvenient Truth)を見た。


ここでは地球温暖化の実態が映像とデータにより明らかにされていく。事態はここまで来ているのか、という戦慄を禁じえない。しかし、こうした人類共通の危機に対し、最大の元凶であるアメリカは京都議定書の批准を拒否し続けている。これは石油メジャーのロビー活動の「成果」であることが示唆される。最大最強の抵抗勢力アメリカに存在するのだ。


また彼らは多くの気象学者にも圧力を掛け、地球温暖化が「事実」ではなくひとつの「説」であるかのように論文を改ざんさせたりしたという新聞記事を、私は映画を見る前に読んだことがあるが、その話も出てきた。「不都合な真実」というタイトルはここから来ている。


この映画では地球温暖化の深刻さと、それを訴えるゴアの信念と情熱に打たれるが、その彼の行動を駆り立てるものは何なのだろう?ある時彼は幼い息子を失いかけた。この子のために何をしなければならないかを考えた彼は、何としてもこの美しい自然を残してやらなければならないという結論に至る。人類の子孫のためにかけがえのない地球を残すこと、それが彼の生涯を賭けたミッションになったのである。


環境問題は人類的課題であり、その重要性は誰しも認めるが、自分としてできることとなると節電や節水など途端にチマチマしたことになってしまい、その遠大な理想と現実のギャップに戸惑ってしまう。しかし、一発満塁ホームランは打てないのだから、一見チマチマしたことを皆で持続するしかない。できることから始める。それしかないし、それで良いのだ。


映画館を出て歩きながら、私はボブ・ディランの「風に吹かれて」の一節を思い出していた。
How many times can a man turn his head,
Pretending he just doesn't see?
The answer, my friend, is blowin' in the wind,
The answer is blowin' in the wind.

人は一体いつまで見てみぬふりができるんだろう?
答えはね、坊や、風が知ってる、そう、風が知っているんだよ。


今日はZARDとは関係ない話題だが、できるだけ多くの人にこの映画を知って欲しいのであえて書いた。

http://www.futsugou.jp/

なお、幾つかの映画館では、2月11日(日)は500円になる。
http://www.tetrapak.co.jp/NEWS/RELEASE/061221.html