窓の外はモノクローム

ZARDの歌をカラオケで実際に歌ってみると、坂井泉水さんの歌詞の奥深さに気付くことがある。歌詞を読み、何度も聴いてきた歌でも、自分で歌って初めて見えてくるものがあるのだ。そうしたことはこれまでもたびたびあった。


今回は「窓の外はモノクローム」がそうだった。

シングルCDに入っているわけでなく、アルバム「時間の翼」に収録されただけで、あまり話題にならない地味な曲だが、私は恋の終わりの切なさに溢れたこの歌が好きだ。

時間の翼

時間の翼


 ♪途切れる言葉 いくつも 埋めるように  はしゃいだ夜更けの部屋 


途切れる言葉。それを埋めるようにはしゃいだ夜更けの部屋。
ここには「周囲(まわり)が羨むほど 仲が良い二人」はもう居ない。


 ♪嘘をつくなら・・・そう最後まで ずっと ずっと 嘘をつき通してほしかった


二人の間に本当の会話はもう成り立たない。恋人の裏切りへの非難というより、悲しみに満ちた絶望感。
虚しい会話が続き、夜更けの部屋の賑やかさと明るさとは裏腹に恋が失われていく。
そこに次のフレーズがくる。


 ♪窓の外はモノクローム


室内と室外の光景がくっきりと同時に浮かび上がり、室内の賑やかさと明るさは一瞬に凍りついてしまう。この、圧倒的な虚無感。


今回初めてカラオケで歌いながら思わずドキリとしてしまった。この部分の恐ろしいまでの虚無感には今まで気付かなかったのだ。


これは、室内と室外の光景が同時に見えないと感じられないかもしれない。これまでは自分が室内から「窓の外」を眺めていたのだが、自分で歌ったことで自然に室内と室外を同時に眺める視点が取れてしまったのだろうと思う。


それにしても、坂井さんはこんな思いを込めて歌っておられたのか・・・。
う〜む。すごいな。