Jポップ批評ZARD追悼号(別冊宝島)

別冊宝島 音楽誌が書かないJポップ批評』というムックの編集者XXさんという方から、私のHP上のメールフォームを通じて、9月にZARD特集を組むので協力してもらえないかという打診があったのは7月のある日のことだった。


全く知らない人だし、突然のことで驚いた。できるだろうかという心配と、ZARDの素晴らしさをファン以外の人に知ってもらう良い機会ではないかという思いがぶつかった。


心配な点は幾つかあった。そのころ私は健康上の不安を抱えており(音楽葬に行けなかったのはそれが原因なのだが)、私的な問題で時間が必要であり、おまけに愛犬がいつ死んでもおかしくないという非常に不安定な状態だったから、どれだけの時間が割けるかが問題だった。もし原稿が納期に間に合わなければ、大変な迷惑をかけてしまう。


考えた末、これを最優先でやろうと決心することができたのは、坂井泉水さんへの私なりの供養になるのではないかと考えたからだ。読者としては、骨っぽいが、ZARD(特に坂井作品の歌詞)については良く知らない人たちを主に想定し、ZARDというのは決して底の浅いJPOPシンガーではないということを知ってもらおうと思った。


第1稿ができたのが京都五山送り火の日(8月16日)。坂井さんが戻って行かれる時に間に合って良かったなどと、柄に合わぬ感傷を覚えたものである。しかし、第1稿は字数制限に構わずとにかく書いてみたというもので、それを1/3に縮めなければならない。


「きっと忘れない」が出て、「グロリアス マインド」のサビの歌詞がわかったので、それを追加して〷さんに原稿案を送ったのはそれから10日後だった。なにしろ、残す部分よりカットする方が倍も多いのだから大変だった(笑)。
音楽誌が書かないjポップ批評: 50: Zardのアーリー90'sグラフィティ
先日、出版社から本を送ってもらい、〷さんにお礼のメールを書くことができたときは心底ホッとした。以下はそのメール(少しアレンジしてある)。

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XXさま

今回の作業は、坂井泉水さんに対する私なりのレクイエム(供養)でもありました。それを曲がりなりにも果たすことができ、ホッとしております。

チャレンジングな経験でしたが、おかげさまで私自身のZARD観をある程度固めることができたようにも思います。実は、最後の「大きな愛」というコンセプトに思い至ったのは、原稿をお引き受けしてからでした。自分を追い詰めたからこそ、見えたように思います。

また、全ての歌詞を読み返しましたが、これはしたいと思っていても、このような機会がなければ結局できなかっただろうと思いますし、新たに発見したこともかなりあります。そういう意味でもこの機会は大変貴重なものでした。

坂井さんの歌詞の世界は幅が広く、「無常観」も重要ではありますが、多彩な要素のうちの一つに過ぎません。そうした限界はありますが、ZARDの本当の素晴らしさを知って欲しいというファンとしての思いを形にする機会を与えてくださったことに、XXさまと宝島社に対して心から御礼を申し上げます。

末筆ではありますが、XXさまの益々のご活躍をお祈りしております。

どうもありがとうございました。

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(この記事について、いろいろな方からお言葉をいただき、大変嬉しく思っております。なかなかレスを書くことができず、申しわけありません。この場を借りて御礼申し上げます。)