スクリーン・ハーモニー中野公演(1)

2月10日、ZARDデビュー20周年の日に開催されたスクリーン・ハーモニー中野公演についてメモしておこう。私は渋谷タワレコに寄ってから中野へ行ったのだが、タワレコのことは別に書くつもり。


中野サンプラザに着いたのは6時だった。その時はまだ会場外の列はなかったが、グッズ売り場を探してウロウロしているうちに、タッチの差で売り場に並ぶ列は締め切られ、後は開場後とアナウンスされたので外を見ると列ができ始めていたので、仕方なく外の列に並んで開場を待った。
昨年5月の渋谷C.C.Lemonホールの公演では設けられていた献花台がないことが、否応なく時の流れを感じさせる。


6時30分開場となり、グッズ売り場で「Flash Back ZARD Memories 2」を購入。キース・ジャレットの「ケルン・コンサート」が流れる会場で私の席に就く。2階の奥から4列目で、私は2004年大阪ライブ(フェスティバル・ホール)の時も似たような席だったことを思い出した。ただ、フェスティバルの音は素晴らしかったのだが、中野サンプラザはこの席からは天井まで数メートルしかなく、たぶんその影響だろうか、音はあまり良いとは思えなかった。しかも、曲によっては音が少し歪んで(いわゆるドンシャリに)聞こえ、坂井泉水さんの透き通った声まで濁ってしまっているように感じられるのが気になった。もちろん、音の好みは人によって違うから一概に悪いとは言えないが、私にとってはC.C.Lemonホールでは全く感じなかったことだった。
中野は「SOLD OUT」と書いてあったが、入りは1階は(ステージに近い一部しか見えないが)ほぼ満席、2階は7割程度だったろうか。


公演は「Good-bye my loneliness」オルゴール・バージョンが少し流れ、「今日はデビューして20年目です」といった趣旨のメッセージで始まった。
すぐにステージに置かれた赤いトイピアノAKGのマイクの映像が映し出され、グッとくる。ファンにとってはこれ以上坂井さんの不在を感じさせる象徴的映像はない。


始まってすぐ感じたことは、C.C.Lemonホールの公演とは客席の雰囲気がかなり違ったことだ。C.C.Lemonホールと比べて拍手が少なく、手拍子もほとんどない。特に2階だからかもしれないが、最後の「負けないで」でもスタンディングは1〜2割だった。しかし、これは決してシラけた公演だったということではなく、充実した感動的な公演であったことに変わりはない。
これは、私を含めて、ファンの誰もが坂井さんの声を聞き漏らすまいとし、その表情や一挙手一投足を見つめ、楽曲を噛みしめようとしていたのだと思う。つまり「外側」へ盛り上がるというより、「内側」へ坂井さんを深くお迎え入れたいということなのだろう。つまり、感動の質といったものが違うのだ。
私の場合、追悼ライブを含めてこれまでの公演では、悲しさを吹き飛ばすために盛り上がろうとする気持ちが全くなかったと言えば嘘になる。しかし、中野では違っていた。悲しみと素直に向き合えるようになったということなのだろうか・・・。


(つづく)