悲しみと感謝と:ZARD”What a beautiful memory〜forever you〜”(9

7年前の7月23日は武道館ライブが行われた日です。このZARDの活動のひとつの頂点である記念日が忘れられないように何とか間に合わせたかったのですが、諸事情でアップが今日になってしまいました。何だか坂井さんに申し訳ない気持ちです。


このライブの記録をお読みいただいている方の中には、これが「記録」なのか?というご感想をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんので、ちょっと言い訳を・・・(笑)。
実は、書き始めて第三回が終わった時、早くもライブDVDの発売がアナウンスされたので、DVDを見れば正確にわかることを不確かな記憶によって書いてもあまり意味がないことになってしまいました。それで、ライブを要約するというより、私の感想・印象(とそれに伴う事実)や一部の作品の背景(ライブには直接関係がありませんが)を中心に書くことにしました。で、厳密には「記録」とは言えないかもしれません。


世界はきっと未来の中」の次の第21曲目は一転してダークな「この愛に泳ぎ疲れても」。さらに22曲目「My Baby Grand 〜ぬくもりが欲しくて〜」、23曲目「So Together」、24曲目「Just believe in love」と、(盛り上がる曲というよりは)じっくり「聞かせる曲」が続きました。


この愛に泳ぎ疲れても坂井泉水さんが船上ライブでアンコール前の本編締めくくりに持ってこられた作品で、坂井さんは「今までにない斬新なリズム展開で、”先を考えすぎるより今を大事にしたい”という大人の純愛がテーマ。」と語っておられます。 1995年 WHAT'S IN 1月号 「OH MY LOVE」SELF LINER NOTES
「今までにない斬新なリズム展開」というのは、おそらく途中でテンポアップして疾走感のある展開になることを仰っているのでしょう。テーマの「大人の純愛」は、歌詞はもちろんですが、ドラマティックでアダルトな雰囲気の曲調にも反映されていると思います。
この曲の坂井さんのボーカル、歌の表情は独特で、「静のボーカリスト」としての閾(しきい)を越えるかどうかという高い緊張感を持ったボーカルだと私は感じます。 http://d.hatena.ne.jp/moon2/20100611
今回のライブでは、ゆっくり目の部分はごく短く、すぐに疾走部分に入ってしまったのが私としては少し残念に思いました。


22曲目My Baby Grand 〜ぬくもりが欲しくて〜は坂井さんが「曲もアレンジも、 MIXも、ジャケット写真も映像も、考えてみたら全部好きだわ(笑)」WEZARD vol.20と仰るように、坂井さんお気に入りの1曲。2004年ライブツアー中の僅かな時間のリハーサルでも、選ばれたのは大抵この曲だったそうです。オフィシャルブック「きっと忘れない」P157。
「My Baby Grand」は周知のとおり、坂井さんがスタジオで音程確認のため愛用されていたKAWAIの赤いミニピアノです(子供用とはいえ、かなり本格的な作りのようです。)。 http://d.hatena.ne.jp/moon2/20090608
歌詞では、恋人と逢えない寂しさをBABY GRANDとともに過ごす情景が歌われています。私はこの曲を聴くと、いつも赤いBABY GRANDが目に浮かんできます。そして、坂井さんの思い入れの深さも・・・。


23曲目「So Together」はライブは初演でした。
「So Together」は坂井さんが「友人の結婚式に行ってイメージした曲」と言われる曲で、ウェディングソングでありながら、坂井さんの力強い歌声がとても印象的です。結婚の喜びと決意が伝わってきて、「歌の力」を感じずにはいられません。


24曲目Just believe in loveもライブ初演で、イントロが演奏されると、観客のピンクのサイリウムが点灯されました。これまでの悲しみ(追悼)の青から一転して祝賀の色へ。ピンクは「脱追悼」を象徴する色だと思います。もちろん、デビュー20周年だからとはわかっていても、私は複雑な思いでした。


(続く)