魂の画家 吉田堅治さんの個展

今日、鎌倉の鶴岡八幡宮直会殿(なおらいでん)で開催されている吉田堅治展に行きました。吉田堅治と聞いても、ご存知の方はほとんどないと思いますが、大英博物館で個展が開催される(ご存命中にここで個展が開催されたのは前代未聞の快挙です)など、「魂の画家」として英国を中心に欧州では非常に高く評価されている画家です。私は昨年8月、吉田画伯を取り上げたNHK特番を見て感動して以来、実際の絵画を見たいものだと思っていたので、やっとその願いが叶いました。http://news.hachimangu.or.jp/Contents/info_a/Images/20110630155310.pdf


今回の個展は展示された絵画の数は少ないのですが、NHK特番の映像と、NHKが喉から手が出るほど欲しがった(が果たせなかった)という英国で作成されたビデオもあって、吉田さんの画業とその背景を知ることができました。


私の考えでは、吉田さんの原点は特攻隊員としての体験です。戦友が次々死んでいく中で、出撃直前に戦争が終わり、吉田さんは死者に対する負い目と、生かされているという感覚を味わいました。そして平和と生命(いのち)が、終生吉田さんが追い求めたテーマになりました。吉田さんの絵を見る人は、おそらくその深い精神性、聖性を感じることができると思います。


会場の真ん中には、屏風のように作品がぐるりと円く立てられ、中心にバイブルと般若心経が置かれていました。たぶん、吉田さんはキリスト教と仏教の違いを超えた何かを見ておられたのだと思います。


私がNHK特番を見ていた時に、特に印象に残ったのは吉田さんの生死一如という考え方でした。生に執着せず、死にもこだわらない生き方・・・。


今回の個展は「祈り 鎮魂と再生」と題されています。もちろん、これは東日本大震災の被災者と、倒れた大銀杏の再生への祈りが込められているものですが、絵を見ながら、私は坂井泉水さんへの鎮魂と再生を思って祈らずにはいられませんでした。


お近くの方は是非行ってご覧になることをお薦めします。

吉田堅治展
場所   鶴岡八幡宮 直会殿
期間   7月15日(金)〜7月31日(日)
時間   午前9時〜午後4時30分(最終日は午後4時まで)
入場料  200円 中学生以下無料  
※入場料は「東日本大震災支援金」に全額あてられます

昨年のNHK特番について
http://gendai.net/articles/view/geino/125688
http://navicon.jp/news/8919/