ZARDが出てくる小説

ZARDが出てくる小説がある。
ZARDコピバン ジョイント・ライブ」http://d.hatena.ne.jp/moon2/20110919 で総合MCを務められたSENSUIさんが、当日のMCでそうご紹介してくれましたので、ここで書いてみたいと思います(SENSUIさんのご了解を得ています。)。


SENSUIさんは、2ヶ所でほんの少し登場するだけですが・・・と、本のタイトルと著者名を言われました。重松清さんの短篇集「日曜日の夕刊」に収められた「サマーキャンプへようこそ」という本でした。ZARDと重松さんの小説をこよなく愛するというSENSUIさんが、読んでいて偶然発見されたとのこと。とても嬉しかったそうですが、そのお気持ちは良くわかりますね(笑)。


こうなると読まずにはいられなくなるのがファンの性(さが)というもの(笑)。図書館で借りて読んでみました。確かに、ZARDは「2ヶ所でほんの少し登場するだけ」です。しかし、それは小説の雰囲気をさりげなく表す要素になっていると思いました。それを書くためには、粗筋を説明しなくてはならないのですが、以下にかなり詳細な紹介が載っているのでまずそれをご覧ください。http://room201.pupu.jp/w_shigematsu.htm


最初にZARDが登場するのは、「ぼく」と「パパ」が高原のキャンプ場に向かってドライブする冒頭のシーンです。
「パパはZARDのCDをかけていたカーステレオのボリュームを少し下げて・・・」
ZARDは縦書きで、これは仕方ないですが、「ザード」ではないところがちょっと嬉しい(笑)。
ここでもしZARDでなく演歌、ジャズ、クラシックだったら、小説の雰囲気やパパのキャラも変わってしまうでしょう。その意味で、「ZARD」はかなり重要な役割を担っていると思います。


2回目に登場するのは、キャンプに馴染めなかったぼくとパパが予定を切り上げてデコボコ道を帰るシーン。
「来たときと同じように小さな車体は揺れどおしで、カーステレオのZARDの歌はしょっちゅう音が飛んでしまう。」
往きも帰りもZARDをかけっぱなし!往きではキャンプ場に向かってテンションが少し上がった状態の中、きっと爽やかな歌が流れていたはずですが、それに対して帰路ではへこんだ心理状態に符合するかのようなサウンドが聞こえてきます。


短篇集「日曜日の夕刊」は「サンデー毎日」連載後、単行本として1999年11月に発刊されました。重松さんがZARDファンなのかどうか、これだけではわかりません。ZARDは1999年には立て続けに「ZARD BEST The Single Collection〜軌跡〜」(5月)、「ZARD BEST 〜Request Memorial〜」(9月)をリリースし、8月には船上ライブを行うなど、一種の社会現象の趣きを呈していたので、重松さんも小説で挿入し易かったのかもしれません。しかし、ZARDに好感をお持ちだったことは確かだろうと思います。

日曜日の夕刊 (新潮文庫)

日曜日の夕刊 (新潮文庫)