さらば青春の影よ

坂井泉水さんが森進一さんに歌詞を提供した「さらば青春の影よ」(C/W「蜃気楼」)を買った。

「さらば青春の影よ」

「蜃気楼」

「さらば青春の影よ」は、森さんが歌うことを前提に作曲されたのではないか、と想像されるような曲調である。「蜃気楼」の方は対照的に、坂井さんがこのアレンジのままでZARDとして歌ったとしても、全然違和感がなさそうだ。

歌詞はどちらも泉水ワールドそのもの。私にとっては、それだけで十分買う価値があったし、非常に満足している。

ただ、恐らく森さんに提供するということと無関係ではないのだろうと思うけれど、歌詞を読んでいくと、以前の坂井さんの詩の世界が見え隠れしているように感じられ、どこか懐かしさを覚える。旧友に再会したときのような嬉しさと言ったら近いかもしれないな・・・。私にとっては、そうした気持ちにさせてくれるCDである。

他人への提供、まして「演歌」だ。ともすれば、我々の尺度で軽く扱ってしまうかもしれない。しかし、「演歌の大御所」に対するこの作詞作業は、おそらく坂井さんにとって、ものすごいチャレンジだったと思うのだ。この歌詞が出来上がるまでの努力には、我々の想像以上のものがあったのではないか。だから、坂井さんにすれば、他人への提供とか演歌ということは、逆にこの歌の「重み」なのだと思う。「軽く」扱われることは、決して坂井さんにとって本意ではないだろう。

求められるのは、まず「演歌」に対するアレルギーを捨てて、歌詞と向き合いながら聴くことだろう。そのために?大きな歌詞カードが入っているしね(笑)。

「さらば青春の影よ」に「たとえこのみらいが見えなくなっても」という個所がある。「みらい」という箇所には「瞳」という漢字が当てられていて、ちょっとドキッとした。

「蜃気楼」では、「言葉はときに残酷で 君のことを ふと思ってしまう」というところ、切ないなあ・・・。それと「涙にならない 月が震えてる」という表現!インパクトがある。怖いくらいに、すごい・・・よね。

是非、坂井さんにセルフカバーしてもらいたいものだなあ(笑)。