星のかがやきよ(2)

曲はまるで車の走りのようだ。エンジンの始動音のようなイントロ。アクセルが踏み込まれ、グーンと加速度がついて行く。そして「エンジン全開」だ。風のように駆け抜けて行く疾走感が心地よい。

スタート後、ボーカルはすぐには発進しない。それまでの間、私は坂井さんがリズムを取りながら「さあ〜行っくぞぉ」と待ちかまえている姿を思ってワクワクしてしまう(笑)。

曲の加速度がついてきてから坂井さんのボーカルが加わる。抑えたトーンで歌い出すのだが、ドラムスやギターの疾走に挑発されるかのように、次第にテンション・アップして行く。この辺のフィーリング、緊張感が何とも言えず、たまりませんなー(笑)。

そして、矯められた緊張が一気に解放されるようなサビは、たたみかける上行音階の強烈なインパクト!ど真ん中直球勝負という感じ(笑)。
アレンジも、少年たちへのストレートなメッセージである歌詞を強く意識したものになっている。

エンディングのコーラスは、恐らく坂井さんがアレンジでイメージしたという「きらきら星」が最もはっきりと出ているところだろう。*1疾走感溢れた楽曲は、少年の夢を見守る母なる星へと聴く者をいざないながら、静かに終るのである。とても美しい、感動的なエンディングだ。
 
坂井さんが「童謡」と言われているだけあって、メロディは覚えやすい。覚えやすいのは非常に良いことだ。しかし、この曲で何よりも重要なのは、メリハリが効いていてインパクトがあることだろう。*2

ボーカルで感じるのだが、坂井さんの声がとても可愛らしい(「夏を待つセイル(帆)のように」の方は優しい声に聴こえる。)。きっと、歌うときの坂井さんの気持ちが自然に反映されているんだろうなと思ったりした。
 
歌詞について少しだけ書いておこう。
坂井さんは、深みがあるが童謡のように覚えやすい歌詞を目指したと言われている。集団の中の個、逃げない、母性愛(空から見守る母なる星)がテーマだと聞くと何だか難しそうだが、実際歌詞を読んでみると、とくに難解な部分はなさそうでありがたい(笑)。

坂井さんが雑誌のコメントで言われている「きらきら星」というのは、私の理解では少年の瞳(夢)であり、また空から見守る母なる星である。

 ♪本気で世界を変えたいと思ってる私のヒーロー まぶしいね!
 
時には周りとぶつかっても少年の日の夢を失わず、大きな世界へ向かって行って欲しいという若い世代への坂井泉水さんの思いが伝わってくる素晴らしい歌詞だ。

とにかく文句なしに元気になれる、ロック・テイスト溢れたZARD流童謡である。きっと、ライブで歌われたら凄く乗れるだろうな(笑)。

(おわり)

*1:「きらきら星」は「CDでーた」では歌詞のコンセプトとされているが、Music Freak Magazine やJ*GMではアレンジのイメージとされている。たぶん、歌詞とアレンジの両方にまたがるイメージなのだと思う。

*2:個人的には、スルメのように噛むほどに味が出てくるタイプの曲が好きだが、新たなファン獲得には、このようにストレートにインパクトがある曲が有利だと思うので、こうした楽曲作りも重視して欲しいものである。