ドナ・ドナ

今度の会報のインタビューで、幼い頃よく口ずさんでいた童謡は?と聞かれて、坂井泉水さんは「ドナ・ドナ」と答えている。


私は思いがけず旧友に出会ったような、懐かしさと嬉しさを感じつつ、「ドナ・ドナ」は「童謡」になっているのかと驚いた。会社で若い人に聞いてみると、小学校で教わったし、誰でも知っている曲だという。私の世代にとっては一種の「反戦歌」なんだけどね(笑)。


私の場合、ドナ・ドナはJoan Baezジョーン・バエズ)のオリジナルで聴き、歌詞も英語で覚えた。試しに口ずさんでみたら、1番はほぼカンペキに覚えていたのには我ながらビックリした。ちょっと自慢(笑)。*1


この歌は英語の歌詞では、自由に空を飛ぶ燕と対比させて、屠殺場に連れていかれる子牛のことが歌われている。私はそれをベトナム戦争に駆り出される同世代の若者たちに重ね合わせて聴いていた。それが当時のこの歌の持つ「リアリティ」だったのだ。


しかし、今「反戦歌」のように歌われても、当時のリアリティは持ち得ないのだから、童謡として歌われることはそれで良いのだと思う。
 ♪ああ、季節(とき)は全てを変えてしまう(不思議ね)
だよねぇ(笑)。


今回調べて見て驚いたのは、ユダヤ人迫害の歴史の暗部を背負った歌だとわかったことだ。私より後の世代が反戦歌と意識しないのと同じように、当時の私はそんなバックグラウンドを意識せず歌っていたわけだ。
http://www.worldfolksong.com/closeup/donadona/dona.htm


なお、ドナ・ドナの訳詞は2種類あるそうで、どちらも英語の原詞より穏やかになっている。とくに教科書版は過激さを取り除いてあるようだ。
http://howard1.hp.infoseek.co.jp/donadona.htm


英語の原詞の最後の部分はこんな感じ。

Calves are easily bound and slaughtered,
 子牛はたやすく捕らえられ、屠殺される、
never knowing the reason why.
 理由もわからぬままに。
But whoever treasures freedom,
 けれど自由を願うものは皆
like the swallow has learned to fly.
 燕のように飛ぶことを覚えたんだ。


やっぱり童謡というわけには・・・(笑)。

*1:後で森山良子さんが歌ったが、その日本語の歌詞はあまり覚えていない。