セパレート・ウェイズ

ZARDの11thオリジナル・アルバム「君とのDistance」の第6曲「セパレート・ウェイズ」(作詞:坂井泉水、作曲:大野愛果 編曲:古井弘人)。


内容的には恋の終わりの歌である。しかし、単なる悲しみではなくて、この作品に特徴的なのは全体に強い空虚感、喪失感が滲み出していることだ。それが最もよく表れていると思うのは、
♪本当にあなたと一緒に そこにいたのだろうか
という部分。痛切な喪失感が怖いくらいに響いてくる。


♪恋が想い出になっても ジリジリ 涙の炎が 燃え上がっていくでしょう
本当の悲しみは別れの時ではなく、その後にやってくるということだろうか。


このように破局の歌なのだが、不思議に絶望感を感じない。それは、たぶん、坂井さんが歌詞に必ず「救い」をインサートするように心掛けている(J*GM)ということと関係があるのだろう。それがどこ(何)かはっきりとはわからないけれども、「甦るあの太陽」とか、「ジリジリ情念(あい)の炎が燃え上がる」という部分なのかな、なんて思っている。悲しい曲にも「救い」をインサートするというのは坂井さんの創作上の「企業秘密」なのではないだろうか。悲しみが魂のカタルシス(浄化作用)になるのは、そこに救いがあるからだと思う。


ところで、この作品に惹かれたのは最初に試聴で聴いたときだ。ほとんど歌詞はわからないままでサビのメロディ(「♪甦るあの太陽」の部分)を聴いたとき、私は古代の壮大な叙事詩的世界を思い浮かべた。こういう感じの曲調は今までのZARDには無かったのではないか。壮大さ、力感、ドラマ性を感じさせるメロディには鮮烈なインパクトがあった。間奏のトランペットもZARDとしては初の試みだが、朗々として、しかも哀切な音色が印象的で素晴らしい。


坂井さんは曲の最後のファルセットの部分を歌っていて泣きそうになったという。私はカラオケで「二人の夏」を歌ったとき、最後の「元気でね」というところで泣きそうになったことがあるが、「セパレート・ウエィズ」でもそうかな。カラオケで歌う時は注意しなくちゃ(笑)。