ディスタンスにサヨナラするまで

タイトルを間違えたわけではない(笑)。

ZARDのアルバム「君とのDistance」の2曲目、「サヨナラまでのディスタンス」を初めてフルで聴いたときは、正直言ってこの曲との「ディスタンス」をちょっと感じてしまった。部分的に坂井泉水さんの声にこもったようなエフェクトがかけられていたからだ。なぜ、わざわざこんな声にしてしまうのだろう?ノー・エフェクトの部分が素晴らしいだけに、なんかもったいない。そのまんまで良いじゃないか・・・。そんなことを思った。


しかし、坂井さんがこうしたことするには何か意図があるはずだ。アルバム全体の中で、変化を付けたかったのだろうか?それもあるかもしれないけど、動機としてはちょっと弱い気がする。


歌詞を読むと、エフェクト部分で支配的なのは自制的なトーンである。つぶやき、自分自身に対する語りかけ。
♪無いものまで有る筈と 夢中に信じていた (これはこの曲の歌詞の中で私が一番好きなところだ。)
心の内側に向かっているその表現として、坂井さんはエフェクトを用いたのではないだろうか。


ノー・エフェクト部分では内に向かわない。訴えや葛藤や苦しみの感情の爆発があり、時には攻撃的な叫びになる。
♪風の中で もっと強い 女になりたい
という印象的なフレーズは、ほとんど悲鳴だ。


曲の最後に近づき、♪Do you love me?の後でかなり長い間奏がある。それは激しい感情のせめぎあいのようだ。人間の肉声に近いとも言われるサックスが使われているのも印象的だ。坂井さんが手抜きはないと言われているのもよくわかるような気がした。


最初に聴いたときに感じた「ディスタンス」はもう消えていた。