お・も・ひ・で(2)

未来がやがて現在になり、現在は次々と過去になっていく。時間とは、未来から過去へ一直線に飛んでいく矢のようなもの。これが我々がいだく「時間」のイメージだろう。


せいぜい100年足らずの我々の生は永遠の時間の中の一瞬に過ぎず、その後には死の状態が無限に続く。人類の歴史もまた然り。全ては過ぎ去り、無の中へと消えていくというパスカルが感じた恐怖。明晰な意識にとって生の無意味さは避けがたい真理と感じられる。これが近代のニヒリズムの起源である。


しかし、と真木悠介社会学者 見田宗介ペンネーム)は名著「時間の比較社会学」で異議を唱える。

時間の比較社会学 (岩波現代文庫)

時間の比較社会学 (岩波現代文庫)

未来から過去へ一直線に飛んでいく矢のような時間という捉え方は人類に普遍的な時間の観念ではない、と。時間が過去を次々と虚無化していくのではなく、現在それ自体が充足しているという感覚で生きている人たちが居る。見田はそこにニヒリズムを超克する途を探ろうとする。


なぜ、こんなことがZARDに関係あるのかと思われる方は多いと思うが、私にとっては「お・も・ひ・で」を語るうえでどうしても避けることができないことなので、ご容赦を・・・(汗)。