永遠のスタンダード

会報 vol.35 のインタビューで、もうひとつ書いておきたいことがある。


デビュー15周年を迎えたときに感じたことは?という質問に対して、坂井泉水さんが、
「やっと一人前のアーティストとして「少し」認められたのかなぁと思いました。」
と答えられていることだ。


私たちは90年代女性ボーカルでの売上ナンバーワンのZARDを、その凄さを知っている。だから、やっと「少し」認められたのかなぁというところ、最初読んだときは「え?今ごろですか?」と少し驚いたが、実に謙虚な人なんだなとあらためて思った。そして、そこに自信がちょっぴり覗いているのが嬉しい。その辺がいかにも坂井さんらしくて良いんだね。


しかし、この言葉がCDを出せば当然のように1位、2位を取っていたときにではなく、15周年に言われたということ。この意味は小さくない。


坂井さんのやっと「少し」認められたのかなぁという言葉は、そんな(1位、2位を取っていた)時代なんて今から見ればまだまだだった、と言われているように思うのだ。
坂井さんはこう続けられる:

でもまだまだ足りないことだらけで、奥の深さに欠けているし、敬愛するような洋楽のアーティスト達の音楽と聴き比べると拙くて、哀しくなりますね。


そうか・・・。価値の基準は「売上枚数」にあるのではない。もちろんそれも大切だが、以前どこかで言われていたように、坂井さんは自らの歌が「永遠のスタンダード」になることを目指している。それが坂井さんにとって絶対的な価値の基準なのだ。そう理解して初めて坂井さん自身の過去の受けとめ方と未来への思いに少しだけ触れることができたように感じた。


まー、凡人的レベルで言えば、それなりの仕事の実績を残してきて、まだまだこれからもっと大きな仕事に挑戦するという段階で、今が一番バリバリ仕事ができる時ということになるんだが、凡人と決定的に違うのは「志の高さ」だね。


「永遠のスタンダード」。言うのは簡単だが、もの凄く重たい目標だ。その基準にこだわりを持ち努力すること。その「志の高さ」こそがZARDの真の凄さだと思う。
私は感動と敬意を覚えずにはいられなかった。