明日を夢見て

アルバム「止まっていた時計が今動き出した」には、「止まっていた時計が今動き出した」と「出逢いそして別れ」の他にも、「決意と悲しみ」という視点から読み取れる曲があることに気付いた。35thシングルでありこのアルバムの第1曲でもある「明日を夢見て」である。


明日を夢見て
明るい曲調だが内容はシリアスな別れの曲である。
♪まだ僅かに木漏れ日が揺れるから
この最後のフレーズでかろうじて希望が暗示され、唯一の「救い」とはなっているが・・・。以前はそんな理解をしていた。


しかし、あらためて歌詞を読んでいると、
♪もしもあの時 違う決断をしていたら 今頃私達幸せに笑っていられたのかな


というところに目が引き付けられた。違う決断をしていたら幸せだったのかもしれない、と。
ここで歌われているのは単に別れの悲しみではなく、「止まっていた時計が今動き出した」と「出逢いそして別れ」に共通する「決断」ゆえの悲しみなのではないだろうか。


そう理解しても歌詞全体に全く矛盾が生じないのである。とくに、以下の部分は決断と君への愛の葛藤が描かれていると思う。

♪夢の入り口に やっとせっかく立ったのに
・・・
お互い思いやりながら生きている


もちろん、別れの悲しみを歌った歌として理解することもできるが、私は上記のように、「決意と悲しみ」の曲だと理解するようになった。曲を変え、表現を変えながら、坂井泉水さんはそれを伝えたかったのではないか、と・・・。