辻井伸行さんのこと

ZARDファンクラブ・サイトのRe-creation!に10年前の2001年記念サイト【ZARD 10th Anniversary】に掲載された坂井泉水さんのコメント(「forever you」「Good-bye my loneliness」「MIND GAMES」「君がいない」)がアップされた。この、コルクボードに書かれたような形、懐かしいなあ・・・。


ついでながら、今夜、NHKの音楽のチカラ「ピアニスト辻井伸行〜心の目で描く“展覧会の絵”〜」という番組を見てとても感銘を受け、辻井さんと坂井さんとの類似性を感じたところもあったので、メモしてこう。


番組は辻井さんがムソルグスキーの「展覧会の絵」に挑戦する様子を描く。
盲目の辻井さんがなぜ「展覧会の絵」を選んだのか?当初辻井さんはキーシン(ピアニスト)の「展覧会の絵」に感動したからだと説明していたが、実はもっと深い理由があったのだ(それは番組の最後の方で明かされることになる。)。


辻井さんは演奏する時、色や風景を思い浮かべるという。これには驚いた。別の番組だが、コンチェルトでは指揮者のタクトに合わせて演奏をスタートしなければならなけれどもそれがわかるのだと辻井さんが語っておられたから、我々には見えない何かが見えるのかもしれない。


辻井さんは演奏におけるイメージ(映像)の重要性を指摘されたわけだが、私は坂井さんが曲から喚起されるイメージから作詞していくとしばしば語っておられるのを思い出した(作詞はいわばまだ見えないものを見えるようにする行為である。)。やはり偉大なクリエイターというのは並外れた「イメージする力」を持っているんだな、と思う。


辻井さんは、アメリカ演奏ツアー開始後も「展覧会の絵」の終曲「キエフの大きな門」のイメージがどうしてもつかめず、苦悩する。辻井さんは30分を超すこの大曲をテープを聴いて1週間で覚えたという。単に弾くだけなら簡単だが、重要なのはイメージなのだ。それがつかめない。凡人の理解を超えた天才ならではの苦悩なのだろう。


しかし、ある演奏を聴いたことをキッカケにイメージが掴めなかった個所が「見えた」という。そして、人がどう思おうと自分の弾きたいように弾こうと決意するのである。ツアー最終日は目前に迫っていた。「人がどう思おうと自分の弾きたいように弾こう」というのは坂井さんの言われた「Keep the faith」「信念を貫く」を思い起こさせた。


そして辻井さんは「展覧会の絵」の演奏を決意させた本当の理由を語る。演奏で目が見えなくても心の目で見ることができる世界があるということを示したいのだ、と。
どこまでも青。それが「キエフの大きな門」のイメージだった。苦悩の末にそれをつかんだ辻井さんの演奏は自信と喜びに溢れ、聴衆に深い感動を与えたのだった。


私は録画できなかったので、辻井さんの言葉を必ずしも正確に引用できていないと思うが、趣旨を間違えてはいないと思う。
「Screen Harmony」で盛り上がっているところだが、あえて今日書いたのは、見逃した人がおられるかも知れなず再放送があるかも知れないからで、他意はない。
以下ご参考まで http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2010-05-28&ch=21&eid=2247&p=1
http://www.tvlife.jp/news/100528_03.php