悲しみと感謝と:ZARD”What a beautiful memory〜forever you〜”(6

第10曲目は「あなたと共に生きてゆく」です。
MCで坂井泉水さんの他のアーティストへの提供活動が紹介され、「あなたと共に生きてゆく」が演奏されました。言うまでもなく、テレサ・テンさんへの提供曲のセルフカバーです。
私は何故かこの曲と映像のコラボレーションに感動してしまいました。坂井さんが登場されるわけでもなく、ニースかどうかわかりませんが、外国の建物などを淡々と映しているに過ぎないのですが、温かく穏やかな歌の調べが映像に絶妙にマッチしていて、「あぁ、良いなあ・・・」と。感動した理由が良くわからず(理由など不要ですが(笑))、今考えても不思議です。


なお、坂井さんは「あなたと共に生きてゆく」について、「無」になって歌いたかったので、気持ちのコントロールの面で大変でした。と仰っています。WEZARD vol.29 
「無」になって歌うとはどういうことなのでしょうか?私は、一切の「雑念」を排除して純粋にZARDとして、つまりテレサ・テンさんを意識せずに歌うということなのではないかと思いますが、そこに留まらず、テレサ・テンさんを意識しないということすら意識しない、それが坂井さんの仰る「無」の境地(言い換えれば「無心」)なのではないかと考えています。


そして「無」になって歌うというのは、前回ご紹介した「GOOD DAY」の(おそらく高揚感がそのまま表出された歌い方に繋がっている)「空を飛ぶ」イメージと対照的で、とても興味深いと思いました。


第11曲目は「君がいたから」。ここで浅岡雄也さん(元「FIELD OF VIEW」)が紹介されました(「君がいたから」、第12曲目「突然」、第13曲目DAN DAN 心魅かれてくは元々は「FIELD OF VIEW」への提供曲です。)。第11曲目〜第13曲目は坂井さんと浅岡さんのデュエットで演奏されました。


浅岡さんの「浅岡雄也です。」の「です」にアクセントを置いた元気な挨拶は、ライブ会場とステージの距離をグッと近づけ、この辺のツボはさすがだなと思いました。
続いて浅岡さんは「95年に『FIELD OF VIEW』としてデビューして、デビュー曲『君がいたから』を坂井さんに書いていただきました。その曲があったから頑張ってこられました」と挨拶されました。http://mantan-web.jp/2011/05/27/20110527dog00m200061000c.html
綿貫さんの場合もそうでしたが、坂井さんとの出会いは多くの方の人生を変えてしまうのですね。坂井さんがリスペクトされるのは、そんなところにもあるのでしょう。


「君がいたから」について、寺尾広さんは「歌詞をもらった時に、哲学的で深いなあ、と驚いた」と言われていますが、 http://wezard.net/liner_02.html その内省的な歌詞は(アルバム「Today is another day」全体の特徴でもありますが)、坂井さんの世界観の深まりを示すものだと思っています。私の大好きな曲のひとつですが、演奏されるとは思っていなかったので、とても嬉しかったです。

(続く)