悲しいほど貴方が好き

3/8発売のZARDの41stシングル「悲しいほど貴方が好き/カラッといこう」をフラゲして聴いている。どちらも素晴らしい作品だと思う。


今日は「悲しいほど貴方が好き」について書いてみたい。

私はこれが「切ない路線」の作品ではないことに気づいて驚いた。まず、そのことを白状しておく。これまで、「悲しいほど貴方が好き」は曲調や透き通るような坂井泉水さんの声、「悲しいニュース」という言葉や「悲しいほど」という繰り返しのフレーズなどから、素直で切ない曲だな〜と思っていたのだ。


ところが、じっくり歌詞を読んでみると決して「悲しい」歌ではない。別れや距離感はなく、また片思いでもない。この作品にあるのは、そういった悲しみからくる「切なさ」とは異質な、ひたむきな思いからくる「切なさ」だ。これは純愛である。「悲しいほど貴方が好き」というフレーズは「悲しみ」の感情というより、一途で純粋な恋心を表わしているのだと思う。


この作品で特徴的なのは、ストレートな純愛の喜びが「揺れる想い」のように外に向かって表出されるのではなく、あくまで内に秘められた、静かな深い思いとして描かれていることだろう。


新しい世界の扉を開け放とう 
貴方が私の心を朝焼けに染めた


とても美しく清々しい表現であると同時に、意思の力を感じさせて素晴らしいと思う。


ZARDの曲は、聴いているとそれまでの理解の枠の変換を迫られてハッとすることがしばしばある。目からウロコというか、ちょっとしたパラダイムの変換で、とてもスリリングなたまらない経験である。今回は私が勝手に切ない系だと思い込んでいただけなのかも知れないが、こうした意外性もZARDの大きな魅力のひとつだと思う。これだからZARDはやめられないんだよなあ(笑)。


それにしても、こんなに切ない楽曲の上に坂井さんの声でひたむきな純愛を載せられては、聴く方としてはもううなるだけしかないじゃないか(笑)!


Hats off to Izumi-san!