「名探偵コナン 戦慄の楽譜」最高のエンデイング

名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)」を見た。
映画には耳慣れたクラシックの名曲の断片が随所に出てきて、かつてのクラシックファンとしては懐かしくもあったけど、曲名を思い出せたのが3〜4曲ほどとはちと情けない(汗)。当時なら恐らくほとんどの曲名がわかったと思うけど・・・、な〜んて負け惜しみ(笑)。


一部にやや無理っぽいストーリー展開もあったが、大人でも楽しめる内容で、私にすれば前に見た「名探偵コナン 水平線上の陰謀」ほどストーリーがややこしくなくて素直に面白かった。(「名探偵コナン 水平線上の陰謀」が2005年の作品と気付いてびっくり。見たのはついこの間のような気がしていたが、月日の経つのは早いものだ。忘れっぽくなっただけかな(笑)。)


映画のラストに登場するZARDの「翼を広げて」。これはミステリーと絡めて描かれる新一と蘭の初々しく微笑ましい恋のストーリーの歌として、とても効果的に使われている。「水平線上の陰謀」での「夏を待つ帆(セイル)のように」もそうだったが、乗せられたなーと思いつつ感動してしまう(笑)。


新一と蘭のストーリーだけでは感動するところまでは行かなかったと思うし、かといって、「翼を広げて」をCDで聴いたときの感動とも違う。坂井泉水さんの歌が新一と蘭の仄かな恋愛感情と重なりあって、じわーっとこみ上げてくる感動だった。この歌では坂井さんはいつにも増して噛んで含めるように優しく歌っておられ、その歌詞と歌唱の温かなパワーに圧倒されるが、それがさらに映像で増幅されて心に強く響いてくるのだ。


もちろん、エンディングは「翼を広げて」の世界(愛する人の旅立ちへの惜別)をそのまま表現しているわけではないのだが、この歌が新一と蘭の物語に奥行きを与えていることは確かである。こうした映像と歌のコラボレーションの生む感動は、やはり映画でしか味わえない種類のものだろう。


「水平線上の陰謀」のエンディング「夏を待つ帆(セイル)のように」は、坂井さんが「映画のストーリーを考慮して選曲した」(Music Freak Magazine vol.125)そうで、エンディング映像もこの曲に合わせて特別に撮影したものだったが、今回のエンディングも「翼を広げて」に合わせて作られたエンディングなのではないかと思う。翼を広げて飛ぶ鳥が私には坂井さんとダブって見えた。悲しくも感動的な最高のエンディングだ。


外でコナンのパンフレット(500円)を買った。「『名探偵コナン』とZARDがともに歩んだ軌跡」と「翼を広げての歌詞が見開き2ページで紹介されている。コナンのパンフレットを買うのは初めてなので不確かだが、コナンのパンフレットで主題歌がここまでの扱いを受けるのは今回初めてではないだろうか。


コナンとZARDの付き合いは長いが、坂井さんが亡くなって初めての映画ということもあって、今回はとりわけ関係者の坂井さんに対する特別な思い、深いリスペクトを感じる。今後もこうした良い関係が続いて行き、若いファンが増え、そしてZARDの歌が時代を越えて引き継いで行かれることを願わずにはいられない。